2009年10月05日

怖い話

実家に泊まるときは、姉の部屋に寝かせてもらう。

「そういえばね」

電気を消してオヤスミ、と言い合ったあとに、
私たちはまだ会話をだらだら続けることがある。
この日も姉が話を持ち出した。

「夜中に誰かがこの部屋のドアを小さくコンコン、って叩いててさ」
「ちょっ、怖い話?やめてよ」

私は怪談の類が苦手だ。
苦手というか、あの人を驚かせようという話の作りが嫌いなのである。
(断固として「怪談は作り話」という前提にたたせていただく)
まったくもって卑怯極まりない。
その能力を別の方向に向けて欲しいとすら思う。
要するに怖くて眠れなくなるのでやめて下さい。

「それでね、お母さんかな?って思ったの。
 で、なんとなくドアの方を見たら、下から灯りが漏れてるのよ。
 廊下の電気は寝る前に消したはずなのに」

「ちょっっっっっマジやめてお姉ちゃんやめて」

隣に寝ている姉にぬいぐるみでアタックするが、彼女は話をやめない。
何の意図があってこんな話をするのだろう。

「まあ起きるのも面倒だし無視してたら、
 一定の間隔でまた、『トントン…トントントントン…』ってノックし続けるの。
 さすがに怖いなあと思ってね。ちょっと様子をうかがったわけ。

 しばらく待ってたらノックしてるだけで絶対入ってこないんだよ。音も小さいし。だから寝たわ」

だから寝た んですか

*私の姉は怪談大好き、ホラー漫画を集めていた過去があります
 ちなみにジェットコースターも好きです



「なんで寝る前にそんな話するのさ!怖いじゃん」

私が抗議すると、

「まあ、大丈夫。多分ないない。アンタ霊感ないんでしょ」

姉はそうまとめると、すっと会話を止めた。
明日の朝も早いし、もう寝た方がいいかもしれない。
私は少々興奮した神経をおさえようと、ゆっくり呼吸をした。

怖い話の余韻はまだ残っているけれど、
確かに姉の言うとおり、私は霊感が無い。
怖い目になど遭うはずが無かろう…そう思い目を閉じた。




その晩、学生時代の夢を見た。
中学のクラスメイトや高校のクラスメイトが同じ教室にいた。
見た目はみんな中学生くらい。
みんなで文化祭のようなものの準備をしていた。

ああ、あの時は楽しかったな。

現実と夢が入り交じる。

18時くらいになると先生が見廻りにやってくる。
夜遅くまで学校に残って良いのは、文化祭の前日だけ。
「そろそろ帰りなさい」
先生が教室のドアをノックしにきて…



トントン。



私の目は、一気に見開かれた。

夢ではない。
頭上のドアが、トントン、と鳴っている。
かすかな音だが、確かに聞いた。


首を左に回すと、姉が寝息を立てている。
窓の外はまだ暗そうだ。
だが、どこか明るんできそうな雰囲気もある。
夜明けが近いかもしれない。

そっと頭を起こしドアのほうを見ると、
姉の言うとおり、ライトの灯りが漏れているではないか!


トントントン。


ノックの音が増えた。
私の目は更に冴え、姉のほうを見るが、彼女は身動きもしないで寝ている。
心臓がバクバク言い始め、恐さのあまりに誰かを起こしたくなったが、
朝の早い姉を起こすのは躊躇われた。


私は姉がしたように、息をひそめ、ノックの音が去るのを待った。
関係のないことを考えようと、さっきの夢の続きを反芻した。

演劇部のリハーサルのときに部員が痴話げんかして、
天の岩戸状態になった女子を説得しにいったっけ…
そのとき魔女みたいな服を着てて、
部室にとじこもってた女子が更に出てこなくなったな…(脱げよ)

トントントン…

文化祭の打ち上げのとき、憧れの先輩が頭を撫でてくれて、
私えっらい勘違いしたなぁー痛かったなー。
でも、気安く頭撫でるなよなぁ(逆ギレ)

トントントントン…

クラスで看板作ったとき、
いつも一匹狼でヤンキーぽいK山さんと話せて嬉しかったな〜
結構絵がうまかったし、笑うと可愛いんだよねぇ。
今どうしてるのかなー

トントントントントン…




一向にやまねぇ



こうなってくると(多少)肝が据わってくる。
ドアと向き合って、座ってより耳を澄ませてみる。
何回ノックするか数えてやんよ!!(でも怖いからドアは開けないよ)

不規則に続くかすかなノック音を数え、
夜明けを迎えて白みはじめた空気を感じながら、
私はふと思い当たった。


これ、工事の振動じゃないの……?


実家の近くの線路で、ちょうど工事をしていることを思い出したのだ。
昼間は電車が走っているので、
電車の走らない夜中に電気を煌々と照らして作業しているのだとか。
気をつけて作業しますが、振動や音が少しするかもしれません、と、
施工会社が挨拶に来たとかなんとか。
注意して集中してみると、電車が通るときのかすかな振動に似たものがする。


勢いづいてドアを開けると、やはり外には誰もいなかった。
姉の部屋のドアには、きらきらしたクリスタルのガーランドがついていた。
これ、揺れてぶつかったら「トントン」って聞こえますやん。
ガーランドをもぎとって寝た。


ちなみに、廊下の電気は母がつけていることが判明した。
トイレに行くときに見えないからつけっぱなしにしているのだそうな。
親子(母&姉)そろって人騒がせな!!!!




タイトルに対してこのガックリなオチ。
この話のどこが怖いって、げにおそろしきは人間の想像力、
夜明けまでノック(振動)の音を数えていた私の精神錯乱状態です。
59回まで行きました。
posted by ル ブルー at 00:00| Comment(2) | (特に)とりとめのないこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
すっげーーーー怖いいぃぃぃぃぃ(゚д゚;)

と思っていたら、そういうオチですか(笑)

夜中に工事なんてするんですねぇ。。
なんとも迷惑なー。

私、隣の住人が夜中11時半から洗濯を
始めた時は終わるまで眠れなかったです。
いやコレは怖いとかじゃなくてうるさくてですが。
何はともあれ原因がわかってよかった!
Posted by ノビウサギ at 2009年10月07日 17:01
ノビウサギさん、こんにちは!

実はこの話にはもうひとつオチがあって、
ドアについていたガーランドを姉にプレゼントしたのは私なんです。

つまり犯人は 私 !

ミステリ界をゆるがす衝撃のラスト!!
(自業自得という話でした)

洗濯機の音、ガタガタしますもんね。響くし。
眠れなかったなんて災難でしたね。。。
怖い音も迷惑な音も自粛して欲しいですなぁー。
Posted by ル ブルー→ノビウサギさん at 2009年10月08日 10:34
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